(1)植物の発生研究は面白い. Exciting plant developmental genetics

Arabidopsis2005-06-04

植物は美しい.The ravishing art of plants

私たちが日常目にする植物,草花の形態には様々なものがあります.
同じキク科でもヒマワリsunflowerは葉を作ると同時に茎を伸ばし,生殖成長に移ると頭花headと呼ばれる小さな花が無数に密集した花序を形成しますが,タンポポdandelionでは茎を伸ばさずに葉(ロゼット葉)を作り,頭花の形成とともに一度(一つの節間)だけ茎を伸ばします.
花や葉のつき方,かたちや茎の伸ばし方など,植物の多様な形態,美しさ(これはかなり主観的ですが)はどのように生み出されるのでしょうか?

かたち作りの分子的基盤.Molecular basis of plant morphogenesis

多様と言っても,どんなかたちにもなれる訳ではなく,植物の細胞が持っている道具=遺伝子によってとりうる形態はかなり限定されています.
そこで,かたち作りの仕組みを解明するには,植物がどんな遺伝子を使って形態形成,器官の発生分化を実現しているかということになりますが,その最も有効な研究戦略の一つは,形態異常の突然変異体mutantを見つけてその原因遺伝子を同定することです.
奇形の原因遺伝子がはたしてどんな機能を持つタンパク質をコードしているのか,これを突き止めるのは分子遺伝学molecular geneticsならではの研究の醍醐味の一つですが,一連の実験には,変異体の探索screening,単離isolationに始まって,顕微鏡観察microscopy,原因遺伝子の同定identification,相補性検定complementation,遺伝子発現expression,コードするタンパク質の生化学biochemistryなどの解析が含まれます.
さらに,その遺伝子をいろいろ改変した上で植物に導入して,どんな形質転換植物transgenic plantsができるのかを確かめる,あるいは新たな形態の植物を作り出すなどの研究が展開していきます.

岡山大学理学部生物学科植物発生研究室 Laboratory of plant development

本研究室では,シロイヌナズナ(アラビドプシスArabidopsis thaliana)の突然変異体を用いて,高等植物のかたち作りの分子機構を遺伝学的に明らかにする研究をすすめています.

  1. 茎頂における表皮細胞分化の分子機構
  2. 茎伸長におけるスペルミンspermineの作用機構

の2つを現在の主要課題としていますが,今までこの分野の研究を知らず,これから興味を持って研究してみたいという人から,世界でもトップレベルの研究を目指したいという意欲的な人まで,広く大学院生を募集しています.
最低限必要なのは面白いと思って真摯に研究に取り組む気持ち,やる気だけです.