(8) 何のための研究か? Why are we alive ?

Arabidopsis2005-06-11

ところで,私たちはなぜ研究するのでしょうか?
答えはそれが面白いからです.
植物のかたち作りというと花卉園芸植物や農作物の品種改良を想像されるかもしれませんが,そのような応用の可能性があるとはいえ,それを目的に研究に励んでいる訳ではありません.
別の言葉でいえば,一般的な意味で“社会の役に立つために”研究しているのではありません.
そうした実学を基本理念にした研究は,植物に関していえば主に農学系の学部や研究科で進められています.
私たちの研究の行き着く先は,敢えていうならば“心を豊かにすること”“社会に夢を与えること”であると考えています(失笑ものか?).
プロ野球やワールドカップサッカーあるいは文学,芸術,哲学と本質的には一緒です.
日本では科学というと科学技術を指し,技術=産業創成=カネになる=みんな幸せという図式がもしかすると常識になっていたりするかもしれませんが,これは真面目に見直さなければならない問題でしょう.
私見によれば,基礎生命科学は,私たちヒトを含めて生き物はどうして生きているのかという,誰もが普通に考える疑問を純粋に追求する学問です.
それを主に血税を使って行なうのですから,できるだけ多くの(一般大衆である必要はないと思いますが)研究者が読む学術誌に質の高い論文として成果を公表するのが使命です.
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注)ルクレールの残した作品7と作品10の全12曲のヴァイオリン協奏曲は,どれも気品があって華麗でとても美しいが,不当に知られていない.楽譜を全部揃えるのは,今ではパリの図書館に行って手稿譜から立ち上げないとおそらく難しい.だから,何だというのか?